神戸山王まつり 応用編へ

神戸山王まつり あ行

【あさわたり 朝渡り】

 朝渡御(あさとぎょ)のこと。2日目午前零時から執り行われ、松明に囲まれた神輿が日吉神社から御旅所に渡御する。所謂“神戸の火まつり”。

【うにょおい】

 この祭りで使われる独特な掛け声。一般的な祭りの掛け声「わっしょい」に相当する。語源には仏教用語の「右遶(うにょう)」、「運良い(うんよい)」等諸説がある。他に「うんにょい」「うんにょおい」「うんにょわい」「うにょわい」「にょーわい」等、発する者や場合によってバリエーションがあり、中には感極まったのか突然「にょー!」と奇声を発する者もあり、慣れない見物客には不可解に映るものと思われる。

神戸山王まつり か行

【かじ】

 担ぎ棒と担ぎ棒の間で縄を操って、神輿の方向を操作する者。前かじと後かじがある。

【かた 肩】

 担ぎ手の「ちょぐち」「前の鈴下」「後の鈴下」「たがね」8人一組をさす。

 朝渡御・還御は、五~六肩で渡御する。

【かわ 川】

 渡御の際に渡る庄九郎川のこと。琵琶湖に見立てているといわれる。見せ場の一つであり担ぎ手に人気が高い。

【かんぎょ 還御】

 2日目夕、お旅所から日吉神社へ渡御すること。到着するとそれぞれの社殿へ神々を移す儀式がある。終了後は「帰り神輿」といって、町内を練りながら各区に戻りそれぞれの神輿蔵に神輿を納めて祭りが終了する。

【けんご 警固】

 警固がなまって「けんご」又は「けんごう」という。祭りの準備から世話、警備、後始末等を行う。本町・横町・上新町・三津屋・宮町・井田.・下新町・鍛冶屋町の氏子が担当し、各区ごとに家の順でまわってくる。

【ごえん 後宴】

 3日目。警固や氏子総代によってこの祭りの後始末が行われる。

神戸山王まつり さ行

【さいしゅ 祭主】

神戸山王まつり 祭主

 「祭り渡し」ともいう。日吉神社神戸区神社氏子会で、氏子総代の中から選ばれる。この祭りの重要な役を果たす。衣装は麻裃に帯刀。

 ※祭りの正装をしていない者が祭主の前を横切るのは厳禁で、護衛の者によって厳しく排除されます。ご注意ください。

【しがく 試楽】

神戸山王まつり 試楽

試楽参り

 宵祭のこと。「しんがく」ともいう。

 1日目午後一時から青年と子供によって中神輿が担がれる。

 午後6時からは約1時間おきに、神護寺善学院の法印、石原傳兵衛家と元六カ村の氏子総代、祭主と氏子総代の順で社参「試楽参り」が行われる。

【しちけっしゃ 七結社】

 神輿を担ぐ区で、祭りに関わる氏子の青年組織。試楽の中神輿の祭事は七結社が主体となる。

【すずした 鈴下】

 8人いる担ぎ手の中で二列目の2人を「前の鈴下」、三列目の2人を「後の鈴下」という。

神戸山王まつり た行

【たいまつ 松明】

 特別な許可を得て栽培された麻木の枝葉・皮を取り除き、乾燥させものを束ねて縄で縛って作る。護衛等に使う小松明。神輿の前後を照らす大松明・中松明。惣門で神輿に出発の合図をする合わせ松明がある。

【たがね】

 8人いる担ぎ手の中で一番後ろの2人。

【たけだいまつ 竹松明】

 安次・丈六道の若衆によって作られた青竹を何十本も束ねたもの。朝渡御の前に神輿のように担いで運ばれ本殿前のかがり火に中に入れられる。大松明などの種火となる。

【だし 出し】

 担ぐ場所の順番で一番最初をさす。

【だんしち 団七】

牛尾宮

神戸山王まつり 牛尾宮(うしおのみや)後 神戸山王まつり 牛尾宮(うしおのみや)前

柿色と白で格子縞

 この祭りの特徴的な装束であり、七基の神輿ごとに異なる法被(ハッピ)或いは半纏(はんてん)のことを団七という。

 名称の由来については、柿色の太い格子縞を団七縞と呼ぶことからきているとか、七社の団結と友好を表している等諸説ある。

 団七が作られたのは、神輿を各町内で保管するようになった江戸時代末頃ではないかと思われる。なお、植物染料を使っていた当時のものと、現在の化学染料のものとでは若干色彩が違っている。

大宮

神戸山王まつり 大宮(おおみや)後 神戸山王まつり 大宮(おおみや)前

藍色と白で亀甲つなぎ模様

樹下宮

神戸山王まつり 樹下宮(じゅげのみや)後 神戸山王まつり 樹下宮(じゅげのみや)前

紺色と白で格子縞

宇佐宮

神戸山王まつり 宇佐宮(うさのみや)後 神戸山王まつり 宇佐宮(うさのみや)前

濃紺色と白で卍のつなぎ模様

二宮

神戸山王まつり 二宮(にのみや)後 神戸山王まつり 二宮(にのみや)前

浅葱(あさぎ)色で背中に大きく二宮と白抜き

三宮

神戸山王まつり 三宮(さんのみや)後 神戸山王まつり 三宮(さんのみや)前

鼠色と白で三宮のつなぎ模様

客人宮

神戸山王まつり 客人宮(まろうどのみや)後 神戸山王まつり 客人宮(まろうどのみや)前

濃い柿色と栗色で格子縞

【ちからがみ 力紙】

 紅白の紙を付けた22本の御幣を扇型に束ねたもの。材質は杉の赤目のみを使用している。

 還御で拝殿屋根から投下され、その断片をいち早く手に入れた者が御旅所まで走り、牛尾宮の神輿に投げると、それを合図に神輿が出発する。

 但し、この次第になったのは昭和20年代後半である。

【ちょぐち 丁口】

 「ちょんぐち」ともいう。8人いる担ぎ手の中で一番前の2人。

【つりこみ 吊りこみ】

 担ぐ場所の順番で一番最後をさす。「出し」に対して「入れ」ともいう。

【つる 吊る】

 神輿を担ぐことをこの祭りでは「つる」という。

【てびき 手引き】

 担ぎ手のサポート。ただ手を引いて導くだけでなく、肘近くの二の腕をがっちり掴んで少し上げてやる事により、担ぎ手の負担が大きく軽減される。

 通常、担ぎ手が交替した後に次の担ぎ手の手引きを行う。

【てんぐみ 天組/手組】

 肩合わせ。渡御の担ぎ手「肩」とその順番や大松明・中松明の持ち手やその他の役割を決める会合。

【でんぺさ 伝兵衛さん】

 日吉神社の創建に関わった安八太夫安次の子孫、当代の石原傳兵衛氏への親しみと敬いを込めた呼称。祭り、特に還御で重要な役を果たす。衣装は麻裃に帯刀。

【どんどん】

 担ぎ手が跳びはねて、神輿を上下に動かすこと。走る前や練る時に行う。本来は「どんど」。

神戸山王まつり な行

【にょーわい】

神戸山王まつり は行

【ひるわたり 昼渡り】

 昼渡御。本楽の午後1時からの渡御で、御旅所を出発した神輿が町内をまわり再び御旅所に帰還する。昭和43年までと昭和60年に執り行われたが、担ぎ手不足から現在は中断されている。