県内唯一の国重要文化財石造狛犬

日吉神社の石造狛犬一対

 日吉神社の本殿の前に石造狛犬(複製、実物は収蔵庫)がある。この狛犬は、旧国宝で現在は、岐阜県内に現存する石造狛犬の中で、唯一国の重要文化財に指定されているものである。

 日吉神社の石造狛犬は、像高74cmで、資材は福井市足羽山付近で採取される火山礫凝灰岩(れきぎょうかいがん)の芴谷(しゃくだに)石が使われている。また、神戸町教育委員会発行の『神戸町の文化財』には、「たてがみは流れるような線をなしており、簡素であるが垢抜けのした力強い彫刻である。」と記されている。なお、上杉千郷氏は『狛犬辞典』のなかで、鎌倉時代の石造狛犬に比べて、この時代のものは「全体に簡略な形態をなして、丸みを帯びた優しい感じを受ける。」「神に祈るような姿を感じさせる。」と述べている。向かって左阿型の狛犬の前肢に「不破河内守光治造立」、向かって右吽(うん)型の狛犬の前肢に「天正五丁丑季(1577年)五月吉日」と彫ってある。

 この狛犬を寄進した不破河内守光治は、天正5年当時は、西保城主であり、織田信長に仕えて、稲葉一鉄らとともに「西美濃四人衆」と称され、民政に手腕を発揮したといわれている。

 岐阜県内には、県の重要文化財以上の石造狛犬は、5ヵ所にあるが、これらは全て天正年間造立である。そのうち神戸町には、日吉神社、下宮日吉神社(日吉神社と同じ形体)、北一色の白鳥神社の3ヵ所にある。〈小川和英〉

通常非公開平成29年10月15・16・17日公開予定